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発達特性(ASDなど)

療育手帳のメリット・デメリット|発達グレーゾーンの体験

発達障害が目立たないグレーゾーンだからこそ役に立つ【療育手帳のメリット】

乳幼児期から発達障害の可能性を否定される機会の多かった息子のマコト(11歳・小6)は、療育手帳をB判定(軽度〜中度)で所持しています。この記事では、一見すると特性の分かりにくいマコトが、療育手帳を持つことで得てきたメリットと、デメリットについて記しています。

【療育手帳・POINTE】
 ■知能指数の判断基準→IQ上限70ないし75(※自治体により異なる)
 ■必要な支援・サービスが受けやすくなる・理解が得られやすい
   →社会生活での困りごとを減らす
 ■割引サービスを利用することで経済的負担が減る
   →経験値アップに繋がる→将来の選択肢が広がる
 ■取得は強制ではなく、自由に選択できる


乳児健診等では発達について大きな指摘をされることがなかったマコトですが、運動発達に不安を感じていた私は彼が2歳半当時に児童相談所で新版K式発達検査を希望ました。そこでその後の生活は大きく変わります。
検査は予想通りに「姿勢・運動」(P-M)領域の数値が極端に低く、総合の発達指数は私達の自治体で知的障害のボーダーラインとされているDQ75、という結果。療育手帳の申請可能なギリギリの数値でした。

*知的障害のボーダーラインは一律に決まってはいません。

療育手帳は、知的障害があると判定された場合に公布されます。しかし年齢に伴って障害程度に変化が生じる事は珍しくないようで、期間を定めて療育手帳の再判定(再認定)が行われます。
マコトも、5歳以降で受けている新版K式発達検査では「姿勢・運動」項目が評価されず、「認知・適応」・「言語・社会」面のみに重点が置かれているので、発達指数は平均値に上がりました。


障害者手帳のひとつである療育手帳ですが、法律に基づいた制度ではないために、各地方自治体によって取得基準は統一されていません。区分分けや手続き、メリットについても、それぞれの自治体で定めています。また発達障害を重複している場合も、その障害特性から対応は異なってくるようです。

数値的には知的障害の判断基準には該当しないマコトですが、先日、児童相談所から現状の聞き取りを受けた上での再判定の結果、更新が決まりました。次回は13歳での再判定です。
このようにIQ(DQ)上限(70ないし75)を超えていても、日常生活での支障から支援が必要だと判断をして、交付するという自治体は複数あります。取得を希望する場合、数値が高めでも住まいの自治体について確認してみることをお勧めします。

「療育手帳」以外の名称を使用している地域もあります。     
  ・「愛の手帳」東京都/横浜市
  ・「愛護手帳」名古屋市/青森県
  ・「みどりの手帳」さいたま市

▶︎障害者手帳 について/ 厚生労働省【制度の概要・実施等PDF】



療育手帳が人生の選択肢を増やす【経験談】

ここまで私たちを助けてくれたのは、支えてくれた家族やお世話になっている各方面の先生方、そして”自閉スペクトラム症の診断””療育手帳”だと思っています。人生の岐路に経った時には選択肢を増やしてくれたし、可能性を広げてくれました。

 ・療育園(主に知的障害児の通う毎日の療育)への入園
 ・特別支援学級への入級


この二つの希望が叶えることは、私たちにとって大きな課題でした。主治医や児童相談所の先生方から助けていただきながらも、発達指数的には希望が通ることは難しいと言われてきました。そのような状況の中で、療育手帳が判断材料のひとつとして、その効力を発揮してくれたのです。

マコトの幼児期。彼の特性に合った環境を用意することこそ、私にとっての最大の急務でした。マコトを公立幼稚園の ”本人に合わない環境”に入れたことが、彼の自尊心を傷つけることに繋がった経緯があるので、自己肯定感を回復させるためには、環境選びは妥協できないと感じていたのです。
結果、療育園と特別支援級を選択できたことは、マコトが自分らしさを発揮できる機会に恵まれて、彼の人格形成にもプラスになったのではと思います。

発達障害の特性は、境界が曖昧な濃淡(スペクトラム / 連続体)だとされています。
 ・調子が良い時には診断域に入らない
 ・診断基準の全てを満たさないようなグレーゾーン
 ・境界域に位置する
このようなケースだと特に目に見えにくく、わかりにくいのではないでしょうか。
心理的にも敏感(HSC)なマコトは、自閉スペクトラム症の中核症状が目立たないために、集団の中にいると彼の困りごとは見過ごされがち。しかし、彼が抱える感覚処理の問題に対しては、環境調整などの支援が必要でした。療育手帳は診断と同じように、彼の支援の必要性を理解してもらう取っ掛かりを作る上で、非常に重要な役割を果たしてきました。

また療育手帳は、特別児童扶養手当(特児/とくじ)の支給の可否決定についても、判断材料のひとつになっているようです。
現在、マコトの好奇心を伸ばすためにと続けているプログラミングや音楽の習い事は、この特別児童扶養手当なしには続けるのはかなり難しいです。将来の経済的な自立に向け、早期に専門性を高めておく事はかなり重要視しているので、ありがたくこの手当てを習い事など学びに充てています。

※特別児童手当の申請は、障害者手帳がなくても『特別児童手当認定診断書』を提出すれば可能です。マコトの場合は、こちらに記入される検査結果の数値だけを見れば数値は高めなので、この診断書だけでは、障害の度合いを伝える上ではそれほど期待できません..
また受給者の所得の上限など、審査基準は各自治体で異なる可能性があります。お住まいの福祉事業窓口にお問い合わせください。

今後は、障害者年金を申請する際にも療育手帳の有無は大きく影響してきそうなのですが、申請の年齢まで療育手帳を更新する事は、恐らく難しそうに思います。再判定の結果、更新されなくなった時点で、精神の手帳(「精神障害者保健福祉手帳」)を申請することになりそうです。ただ、とある講演会での児童精神科医のお話によると、やはり困り感をより理解されやすく、より効力があるのは療育手帳なのかもしれません。

▶︎ASD確定診断のメリット【HSCを併せもつ場合】



様々な経験を手に入れる

療育手帳の各種割引サービスを活用したことで、金銭的な負担が軽くなったことは、外出の機会を増やして、積極的な思考に変化させてくれました。様々な場所で初めての経験を重ねていく中に思わぬ発見があったり、その先の方向性としてヒントになったり.. 私にとっても学びに繋がる機会が増えたように思います。

障害を抱えることで、様々な面で日常生活に負担がかかることはあると思いますが、障害を抱えた人たちが社会との関わりを大切に考えて、社会参加をしていく上で、とても意味のあるサービスだと実感しています。
私たちも次のような場所で利用しています。同伴者・介助者も割引の対象になる場合が多いです。

 ・交通機関
 ・公共施設
 ・レジャー(遊園地・動物園・植物園など)
 ・神社仏閣
 ・映画館
 ・スポーツ施設 ..

ホームスクール のマコトですが、1日中家にいるということはほぼありません。空いている平日、ふたりで1泊旅行をすることも1年に1~2回ほど。今後も手帳を最大限に有効活用して、経験値アップに役立てていこうと思います。

▶︎障害者手帳で行こう!〜全国版〜
療育手帳(愛の手帳)が使える施設や割引情報

〜大きなテーマパークで受けられるサービス〜
▶︎ディズニーリゾート / 1デーパスポート(障外のある方向け)
▶︎ユニバーサル・スタジオ・ジャパン / ゲストサポートパス



取得することでのデメリットとは?

マコトが2歳で療育手帳を取得してから、様々な場面で手帳に助けられてきましたが、取得したことでの私たち家族のデメリットはどのようなことだったのか。子育て9年目に入ったいま、振り返って考えてみました。

明確に誰にでも該当するようなデメリットというのはあまり思いつきませんが、障害受容に絡んで、療育手帳を所持することに抵抗を感じる親御さんはいらっしゃると思います。取得は強制ではありませんし、発達検査の結果、申請可能だというお話があっても、親御さん(年齢が高い場合は本人も)が納得のいかないうちは、無理に手帳を利用する必要はなさそうに思います。

我が家の場合、手帳の取得に反対こそしなかったものの、マコトのお父さんにとって、私が考える以上に心理的負担が大きく、受け入れ難いことだったように思います。恐らくお父さんにとっては、そのメリットを深く考える以前に拒否感があったのかもしれませんが、手帳は障害を証明するものですから、そうであったとしても無理もありません。家族にとっては、診断と同様にとてもデリケートな問題です。

私自身も日常の中で、障害受容は決して容易ではないことを思い知らされます。生涯をかけて、マコトの特性と向き合って考えていくのかもしれません。”障害は個性”と言われたりしますが、個性かどうかはマコト本人が自分の特性をどう捉えるか、ということ..。母親の私が、彼の特性を単に個性だと捉えるのは良い部分はありつつも、それだけではどこかスッキリとしない違和感を感じます。

そして、私がマコトの将来をシュミレーション することで、どんなに不安になったり、戸惑い立ち止まったりしたとしても、日に日にマコトは大きくなっていきます。親の心の成長を、子どもは待ってくれません。
だから、私は自分がしっかりと受容して心を落ち着かせるまで、支援を受けやすくなる判断(手帳の取得)をしない・保留するということは、とてももったいなく感じられたのです。そういった環境に繋がりやすくなるという事は、一緒にマコトを支えてくれる支援者との出会いも増えるのですから。

こういった部分は、パートナーだったお父さんと少し考えが異なったかもしれませんが、私たちはそれぞれに、それぞれの考え方でマコトを想っている、ということは同じなのだと思います。

子育てしていく上で、大小様々な判断を強いられます。条件が満たした場合に療育手帳を取得するかどうかは自由。必要がなくなったタイミングで、返還するのも自由です。そう思うと、せめて人格が作られていく重要な時期には、本人が安心できる環境に身を置く選択ができたり、笑顔を増やす経験をさせてあげられることが大変ありがたく感じます。後々、本人の人生に好影響をもたらすように思えてなりませんでした。

当事者・息子にとっての療育手帳とは

療育手帳を持っていることについて。9歳のマコトには現段階ではこんな風に伝えています。
 ・マコトに困りごとがあるということを、知って欲しい人にわかりやすく伝えることができる。
 ・リハビリ(OT・PT)や放課後デイで頑張っているマコトに対して、交通費が免除されるということ。

マコトは、自身の感覚過敏については彼なりに理解をしていて、五感の過敏さが集団での活動を難しくしているという自覚もあります。(感覚の鈍さ・運動面への影響や不注意さについては、まだ少し理解が追いついていないです。)そういった面に対して、配慮や支援を受けているという認識ではいるのだと思います。
公共交通機関を利用する時や、公共施設、レジャー施設でチケットを購入する時などには、彼自身が手帳を取り出すことは自然になっています。

もし今後、マコト本人が療育手帳に抵抗感や不安感を感じる時には、返還するつもりでいます。
早いもので、彼ももう思春期の入り口。次回再判定の13歳の頃には、自身の特性をどんな風に感じるようになっているか..これまでは主に私が決めてきた大きな決断も、今後はより本人の意見を尊重して、彼自身が判断していく機会が増えていくのだろうと思います。

ミライロID 【障害者手帳アプリ】

障害者手帳をスマートフォンで管理できるアプリ 。スマホで必要な情報をスムーズに提示・伝達することができるので、手帳そのものを取り出す必要がありません。誰もが持ち歩くスマホで手帳を代用できるのならば、申請を迷う方の心理的負担や抵抗感も軽減されるのではないでしょうか。利用できる自治体や企業が増えていくことを期待しています。

▶︎ASD確定診断のメリット【HSCを併せもつ場合】

▶︎感覚と不安〜HSC・ASDの敏感っこたち〜

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