敏感っこのマコトは現在8歳。彼は次の診断を持つHSC(ハイリー・センシティブ・チャイルド)です。
・自閉スペクトラム症(以下ASD)※感覚処理障害以外は目立たない
・発達性協調運動症
・ディスクレシア(読み書き障害)
・注意欠如・多動症(不注意優勢型)
周囲の状況を深く処理し、深い解釈をするような敏感な気質(HSC)を、上記のような劣等感を抱きやすい条件(発達障害)とを、併せもっています。
マコトは3歳で深刻な二次障害を経験しましたが、こういった条件が揃うと、一般的なASD児よりも更に自信を失いやすくなるのは、やむを得ないようにも感じます。
しかし、HSCであることが、発達障害上の困りごとをカバーしてくれる部分もあると感じています。というのも実際、日常生活をおくる上で、周囲のフォローが必要になる場面は多いです。例えば、HSC特有の共感性の高さは、周囲の人との結びつきを強くしてくれており、困った場面でも助けてもらいやすい、というのは息子を見ていて実感する部分かもしれません。
カテゴリー・『成長記録』には、マコトの発達の経過を記録していきます。
こちらの記事には、出産〜就学直後までの発達に関係する出来事をまとめています。
Contents
妊娠・出産
■里帰り出産で帰省後、初診で*切迫早産を知る。
■お腹の張りが酷く、*ウテメリンを服用開始。
■予定日2週間前。胎動が強く、夜間に*破水。
■病院到着後は子宮口が開いていない状態。
■陣痛開始後も*微弱陣痛が続く。
■陣痛促進剤(子宮収縮薬)を最大量使用したものの、効果に乏しい。
■会陰切開・*吸引分娩と*胎児圧出法により出産。
陣痛開始〜出産まで44時間。
破水〜2日間の出産。
分娩台で出産直後までよく動いていた赤ちゃん。早く出たがっている気がして、赤ちゃんが元気かどうか看護師さんに何度も確認。長時間マコトは本当によく頑張ってくれました。生まれてきてくれて、ありがとう。
切迫早産 : 早産(妊娠22週~37週までの出産)が切迫した状態。
ウテメリン : 子宮の収縮を抑える薬。妊娠16週以降37週未満の場合に使用。
破水 : 陣痛前に、赤ちゃんを包む羊膜(卵膜)が破けて、羊水が漏れること。
微弱陣痛 : 分娩開始後、分娩が進行しない状態。
(陣痛が弱い・発作の持続が短い・陣痛間隔が長い)
吸引分娩 : 頭部に吸引カップを装着して出産を手助けする器械分娩
胎児圧出法 : 母体のお腹(子宮底部)を圧迫する
〈出典元・参考元 〉
日本赤十字社 葛飾赤十字産院
Medical Note
新生児
■後頭部に血腫。
〈1ヶ月健診時には吸収され、消失していたものの、出産時の強い圧迫(吸引分娩)からの脳への影響が心配だった。〉
■出生後は新生児ビリルビン血症※1(新生児黄疸)のため、光線療法※2(24時間×2回)を受ける。
■新生児室の他の赤ちゃんのように、よく眠る印象がなかった。(泣くこともなく、静かに光の方を目で追っている様子も見られた。)
■些細な物音や気配にとても敏感。
■”おくるみ”が不快そうに見え、新生児の間も巻きつけないよう気を遣った。
入院中、マコトは光線療法を受けていたために目をガーゼで覆っていました。表情が見れないままの授乳.. 。1秒でも早く専用の機器に戻る必要があったからです。看護師さんから「まだ目も見えてないから」と言われても、その姿は痛々しくもあり、胸が締め付けられました。思い返しても、新生児期から肌が過敏なようだったので、覆われたガーゼはマコトにとって不快だったかもしれない..と、いまだに思い返すと胸がザワザワします。
母乳を飲んでくれている姿には、経験のない愛おしさで満たされていました。退院まで、私がマコトの側から離れなかった様子に「マメさんはもう赤ちゃんを溺愛してる」と看護師さんから。
※1 新生児ビリルビン血症 :新生児の血中ビリルビン濃度が高くなっている状態。
※2 光線療法 : 光を照射することで、ビリルビンを水に溶けやすい形に変え、胆汁内への排出を促す治療。
〈出典元・参考元 〉 Medical Note 新生児高ビリルビン血症
0歳
【運動能力 / できた月齢】
・寝返り→5ヶ月頃 / 首がしっかりしていないうちに寝返りを(開始。
・首すわり→5ヶ月後半〜6ヶ月頃 / 生後半年間は横抱き。
*
『首すわり』よりも『寝返り』の方が早いというのは、一般的には不自然に思います。当時、かなり反り返りが強かったため、寝返りなのではなく、反り返りが寝返りのように見えていた可能性も考えてしまいます。
【運動能力 / できた月齢】
・ズリバイ→8ヶ月頃
・お座り→9〜10ヶ月頃 / 背の丸いお座り。9ヶ月以降も倒れやすい。
・つたい歩き→11ヶ月
■4ヶ月
・声を出して笑う。笑顔が多く表情豊か。
・初めて同月齢の他児を抱く。体の硬さに大きな違いを感じ、やわらかいマコトの神経発達が順調ではないのではと疑う。
■乳児健診
・3~4ヶ月→指導事項など特になし
・6~7ヶ月→指導事項など特になし
■9ヶ月
→追加健診を自ら希望・かかりつけ医を受診。体のやわらかさ(お座りの不安定さや反りやすさ)を説明し、様子見。
■10ヶ月
→発達不安から横浜某大学病院・小児科へ。改めて低緊張(※3)や言語の遅れを説明。しかし、発達上の大きな問題はないとされ、小児神経科の受診にはつながらない。
日に日に、内から溢れ出るような好奇心を感じさせてくれたマコト。笑顔に癒される一方、体のやわらかさ・反りがその後の成長にどのような影響が出るのかが心配に。 本当にいまの段階で有効なアプローチが何もないのか、このまま様子を見ていいのか不安が続きました。
※3
低緊張 (筋緊張低下症): 自分の体を支えるための筋肉の張りが弱い状態のこと。
〈出典元〉リタリコ発達ナビ 子どもの低緊張とは
1歳
【運動能力 / できた月齢】
・たっち→1歳1~2ヶ月
・ハイハイ→1歳1~2ヶ月
・1人歩き→1歳3ヶ月
■変わらず体のやわらかさが気になる日々が続く。原因は良性筋緊張低下症(発達は遅れるが後に追いつく)であって欲しいと願いつつ、軽度の脳性麻痺も疑っていた。ASDは特徴に当てはまらず、疑っていなかった時期。
■反りが強い。
■癇癪がほぼ見られない。
■手差し(後に指差しに)が多い。
■MRI(横浜某大学病院) →睡眠導入の薬を使うも、音で目を覚まし2度失敗。1歳半で歩かない場合に再度試す予定が、1歳3ヶ月で歩き始めたためにMRIは非実施。
他疾患のために通院中だった某大学病院へ発達不安を繰り返し伝えたことが、2度のMRIに繋がりました。正直マコトに負担だったと感じており、後悔しました。検査ではなく、小児神経科の受診を希望したのですが、最後まで繋がらなかったのは残念です。
抱っこ紐で外出することが常でした。好奇心旺盛な表情と、マコトの興味の対象を見逃したくなくて、ベビーカーに座らせることはあまりありませんでした。基本的に機嫌よく過ごしてくれ、あまり手のかからない子でした。
2歳
■不安のある運動発達をふまえ、慎重に園選び。住環境や専門医探しについても考えた結果、引越を決意。【関東→関西】
■”感覚統合(※5)”というワードを知り、ASDを疑う。家庭で可能な感覚統合遊びを始める。(トランポリンやジャングルジムも自宅に用意)作業療法士の先生を探し始める。
■市の児童相談所へ発達検査を希望・申し込み。
(理解されにくかったこれまでの経緯から、発達相談ではなく、発達検査を優先して希望した。)
■ASDを中心に発達障害について本格的に調べ始める。
■数ヶ月の待機期間を経て、児童相談所で新版K式発達検査(※6)を受ける。 →総合DQ75(運動領域の数値が極端に低い)
■市の療育へ申し込み。
■療育手帳の申請(住まいの市ではDQ75以下で申請可能)
■市の発達相談(小児神経科医)→K式結果を伝えた上で、大きな心配は要らないとのこと。療育も急がなくても良いとのアドバイス。
■半年近くの待機期間を経て、小児リハビリテーション・クリニックの初診。月2回の感覚統合療法(作業療法士の先生による)を開始。
■2歳半 – 単語のみ・約170語(一般平均 : 約400語・満遍なく二語文を話す)
■音楽療法に通い始める。(現在も6年目で継続中)
※5 感覚統合
脳に入る様々な感覚刺激をまとめる機能。適切に処理されることで適応行動に繋がる。
〈出典元〉リタリコ発達ナビ「感覚統合」とは? 発達障害との関係、家庭や学校でできる手助けまとめ
※6 新版K式発達検査
乳幼児や児童の発達の精密な観察を行い、精神発達の様々な側面について、全般的な進みや遅れ、バランスの崩れなど発達の全体像をとらえるための検査。
〈参考元・出典元〉国立特別支援教育総合研究所/教育相談情報提供システム アセスメントについて 発達検査
※7 療育
児童発達支援とほぼ同じ意味として使用されている。
〈参考元〉 : 「児童発達支援ガイドライン」概要 / 厚生労働省
※8 療育手帳 : 知的障害のあることを証明する障害者手帳。
〈出典元〉リタリコ仕事 ナビ 療育手帳とは?大人でも取得できる?メリット・デメリットはあるの?制度の内容から申請方法までわかりやすく解説します!
公立幼稚園 / 3歳・年少
■運動発達
・手を繋いでも階段の昇降動作が不安定。
・ジャンプができない。(自発的に柱などを掴んで跳ぼうとするなど意欲はある。)
■排泄→
日中・夜間共に、頻繁にオムツに尿が出る状態。まだトイトレ開始のタイミングではないと判断。
■乳児期から変わらず、肌の過敏さが目立つ。(砂や泡をさわれない・裸足が苦手)
■私の常時付き添いが条件で入園(年少時は加配がない為)一定の距離を保ち、必要な時に助ける。(不器用さからできないこと・階段・オムツ替えなど)
■自閉症協会へ入会し、勉強会に参加。
■園生活の中で、周囲との違いを本人が自覚・大きく自信を失う。二次障害に。
・他者視線恐怖症〈対人恐怖症の一種〉
・感覚過敏の悪化(伴って偏食が悪化)
・チックの悪化
・睡眠の不安定さ(フラッシュバック)、など。
■幼稚園と並行通園で療育を開始
・市の療育/月2回開始
・隣の市(他県・民間)の療育を開始
■来春から通園予定の療育園(毎日の療育施設)3カ所の見学
療育園(毎日の療育施設) / 4歳・年中
■年中から療育園(児童発達支援センター)へ転園。
過敏さから園バスに乗れず、片道1時間半の電車+バス通園を開始。
■スヌーズレンの利用。
個別療育からスヌーズレンルームでの活動(2〜3名)を経て、半年ほどかけ小グループ(5~6名)での活動へ移行。
■主治医から扁平足を指摘され、整形外科へ。インソールを装着。
■イヤーマフを頻繁に使い始める。
〜主治医のクリニックにて〜
・作業療法を継続 /月2回 (8歳現在も継続中)
・理学療法士の先生からボイタ法(※9)を教わり始める/月1回(7歳まで継続)
・母親心療内科の受診を開始。
スヌーズレン
Welcome to “Atsushi OTA” Lab.
スヌーズレンとは、重度知的障害者を魅了する感覚刺激空間を用いて彼らにとって最適な余暇やリラクゼーション活動を提供する実践であり、またそのプロセスを通して構築されてきた理念でもある
作業療法士 太田篤志の研究室へようこそ http://www.atsushi.info/
※9 ボイタ法
『反射性移動運動』を利用した運動機能障害に対する治療法
〈参考元・引用元〉NPO法人 日本ボイタ協会 / ボイタ法とは
療育園(毎日の療育施設) / 5歳・年長
■公立小学校選び
・支援級に在籍できる小学校を探して、3校の見学と面談へ。
■トイレトレーニング成功・昼間の紙パンツが外れる
■スポーツ家庭教師の先生と園帰りに運動遊び /月1~2回
(協調運動や感覚統合に精通された先生)
■支援級に入れなかった場合の居場所探し
・YMCA発達障害サポートプログラム見学(SST)
・フリースクール見学
・放課後デイ見学
■聴覚過敏検査(聾学校にて)
聴覚過敏を可視化することで、希望の支援級への必要性を伝える助けにしたいと聾学校へ相談。ご協力いただき、検査・説明を受ける。
■難航していた支援級への在籍が認められる
■現在の学区へ引っ越し
就学について。少人数のクラス(支援級)に入れなかった場合に、30人のクラス(通常級)を望まないなら、無理をして小学校に行かなくていいことをマコトには伝えていました。小学校に行かない場合は、通っていた療育園のようなマコトが安心できる場所を必ず見つけてあげると約束。本人は「ありがとう」と答えつつ、やはりハッキリと就学先が決まるまで母子ともに落ち着かない1年を過ごしました。
小学校入学(支援級) / 6歳・小1
■入学式翌々日、通学途中に足が止まりフリーズ。その日は欠席。
翌日から私が教室内に付き添う形で登校。(支援級担任の先生からの提案)
■支援級に在籍したものの、必要な環境調整や支援を受けにくい状態が続く。(見通しがない・能力以上の課題設定など)
■失敗が多く、自信を失いかねないために、迷いつつも本人の負担を軽減するためにストラテラ・インチュニブをそれぞれ一定期間試す。
→どちらも体質に合わずに服用中止。薬ではなく、環境を整えることで本人の困りごとを解決したいものの、学校では実現が難しいことを実感。
■夏休みから少しずつ芸術系の放課後デイを開始 /個別対応・40分
■12月。校長先生との面談後、マコト本人と今後について相談。
結果、週1日(1時間のみ)の限定登校を希望。ホームスクール をベースに切り替えることを決める。学校へ伝える。
2〜3年生現在もホームスクール を継続しています。
〜低緊張について〜
乳児期からのマコトの体のやわらかさについて。乳児健診やかかりつけの小児科医から指摘されることはありませんでしたが、母親の私から見て、体がやわらかいマコトの姿勢が他のお子さんと違うことは一目瞭然でした。
姿勢発達の気付きから自閉スペクトラム症が疑われることはあまりないのでしょうか..? 社会性ばかりが問題視されるようならば、早期発見から早期にフォローを始めていくことは難しいように思います。
姿勢や反射を丁寧に診てもらうことで、その時期に適切な対応が取れるよう、後の発達・健康の管理に役立ち、繋がっていくような乳児健診のシステムが整うことを切に願います。
私にとって繊細な彼の子育ては、気付きと学びの8年でした。
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