聴覚過敏だからこそ
聴覚の過敏さから、音に対するストレスが大きなマコト。日常の中では、あらゆる場面で、あらゆる雑音とそこからの心理的負担に疲弊してしまいます。
だけど、癒される対象もやはり音のようなのです。
小川のせせらぎや小鳥のさえずり、風に揺れる木々の音などの自然音にも敏感に反応して癒されるマコトにとって、本来なら森林浴がとても効果的なのかもしれません。けれども、住まいの環境から実際には頻繁に連れ出すには難しいのが現実。就寝時に、寝室でネイチャーサウンドを流しておく、というくらいです。
他に、乳幼児期からマコトの反応が良かったのは楽器の音色。身近な楽器演奏はもちろん、子ども向けのオーケストラコンサートでも、驚くほど集中して聴いていました。
五感の過敏さ以外にも感受性の強さや不器用さなど、何かとストレスの多いマコトにとって、自然音や音楽からリラックス効果を得られることに気付いた時には、どこか救われたような気持ちでした。
発達障害と音楽療法
先日は、マコトが2歳から通う音楽教室での発表会でした。 今回はピアノとドラムでの参加。過度な緊張なく、割と落ち着いて終えることができたと思います。
この教室は、発達障害をはじめ様々な障害を持つお子さんを対象にしていて、一般的な音楽教室とは異なります。お世話になっている先生は作曲家・ピアニストの音楽療法士。一人ひとりに丁寧に寄り添い、個々の特性に合わせたオリジナルのプログラムで個別レッスンがすすめられます。
・安心感
・心身のストレス緩和
・自己表現(感情を表せるように)
といった心理面や社会的なサポートにつながることを期待していました。
また、現在使用しているピアノの鍵盤のタッチは、マコトにとって同年代のお子さん以上に重みが感じられるものだと思いますが、随分としっかりと叩けるようになってきたようです。
そして、集中して演奏中は、背もたれのないピアノ椅子で頑張って姿勢保持をしています。
こんな風に、2歳から音楽を育児に積極的に取り入れたいと思ったきっかけとして、運動面の遅れを意識した側面もあります。リズム感を養うことで、わずかでも運動発達へもプラスのアプローチにつながらないかという期待も..
いまは、何とか ”意識的に頑張って” ではあるけれど、手拍子を合わせられるようになったマコトです。
通い始めて6年目。こういった身体面へのサポートも含め、発達やコミュニケーションのちからをも育んでいく上で、とても助けられていると感じています。
音楽がもたらしてくれる恩恵。マコトの場合はとても実感しています。
音楽療法とは「音楽のもつ生理的、心理的、社会的働きを用いて、 心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に使用す ること」と定義します。
一般社団法人 日本音楽療法学会 About日本音楽療法学会について
療育にも活用される「音楽療法」の最前線! 子どもたちへの多彩なアプローチについて徹底取材!
▶︎リタリコ発達ナビ
家庭以外の安心基地の大切さ
振り返れば、幼児期は過敏さに加えて、園生活で自信を失ったことからの視線恐怖が酷く、舞台に上がるどころか発表会の会場にも入れませんでした。まずリハーサルで客席にスタッフの方しかいない状況でも難しいほど..
プログラムには、名前と曲目が記載されていましたが、決して無理強いしない先生は、自分の顔を伏せがちなマコトの様子から「今日は(発表会にでるのは)やめておこう〜!^^」と、アッサリと不参加を認めてくださいました。
こういった安心の積み重ねが、今回の発表で垣間見れた自信のカケラにも繋がっているのだと実感しています..!
自信をなくして公立幼稚園を退園した時、
家を一歩出ると顔を伏せ、外出困難だった時期、
転園先の療育園で絶好調に過ごした時期、
就学後、能力以上の”普通”を求められ、再び自信をなくしてからも..
音楽療法教室では、その時々のマコトにあったスモールステップを積み上げることができました。
特に、視線恐怖に悩んだ時期も完全に引きこもるような状態に陥ることは免れたことは、マコトにとってその先に続く道の選択肢を増やしてくれたのです。
どのような状態のマコトも、いつも全てを受け止め、肯定・共感してくださることの安心感。貴重な社会との繋がりとして、変わらずに通うことができている特別な居場所。
変わらず成長を見守ってくださる先生と教室の存在は、大きな心の支えになっています。
▶︎感覚と不安 (マコトの感覚過敏について)
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