家のリビングで寛ぐ犬

ホームスクーリング

マコトのホームスクール【安心基地からの再出発】

ホームスクール開始の経緯

敏感さゆえに不安が強く、加えて日常生活にも支障のある不器用さを持つ息子、マコト(小3)。彼に相性の良い学びのスタイルに落ち着くまでには、試行錯誤がありました。現在は彼オリジナルの過ごし方で、比較的安定した毎日を過ごせているのではないかと思います。

学校では、五感の過敏さ・姿勢保持の難しさ・一斉指示が入りにくいなどの理由からも支援学級に在籍しています。発達指数的には普通級判定でしたが、幼児期から支えてくださっている先生方(主治医や児相の担当医)に助けていただいたこともあり、無事に希望していた支援級への入学が認められました。

秋頃まで続けた付添い登校で目の当たりにした、学校の支援体制とそれに対するマコトの反応。それは、私が想定していた小学校での心配をはるかに超えるもので、改めて少数派で生きていくこと厳しさを実感させられました。

マコトの成長にとって、全てのベースになるのは何よりも安心感です。
幼児期より不安の強さに悩んできた経緯から、必要な支援を受けながらマコトが支援者の方々と信頼関係を築いていくことは大切に考えてきました。それが叶えば、安心安全だと感じられる家庭以外の場所で、自分らしさや能力を発揮していくことは難しくはないはずだと思えました。安心感や信頼関係なしに、成長を期待することは酷なのです..

これらの実現には、特性について理解を得ることが何より大切なのですが、言動が目立たないマコトの困り感に気付いてもらうことは、想像以上に容易ではありませんでした。どうしても”普通”を求められてしまうのです。
また、仮に先生方が支援の必要性を感じてくださったとしても、物理的な環境から先生方の負担も大きく、合理的配慮を受けることも難しいだろうことは、その状況から手に取るようにわかりました。

避けられない現実問題として、支援級とはいえ現状の体制では学校を学びの場にすることが、逆にマコトの可能性を狭めてしまうと判断。校長先生との面談で感じた、特別支援に対する関心の低さは決意を固める決定打になりました。



全ては心身の安定から

1日のスケジュール把握に必要な時計

これまでは多少無理をしても、学校を中心に考え合わせてきた生活を一変。
睡眠や食生活など、まずは本人に合った生活リズムを整えることから始めました。

ストレスに強いとは言えないマコトが、心身ともに安定して過ごせるために重要なのは、毎日のルーティンワーク。「いつも同じ」から得られる安心感とは、定型発達の人が感じるよりも、はるかに大きな意味を持ちます。

漠然とした不安にのまれやすいマコトには、自由過ぎるよりは、ある程度の枠組みを用意したようがいいようです。本人と相談しながら1日の内容と1週間の過ごし方を、何度もアップデートして考え、下記のようなベースを決めつつも、本人のその時々に合ったペースで無理のないように過ごしています。

[午前中]
起床後、洗面と朝食を済ませた後は..
1.ゆるいヨガ
2.国語・算数(小まめに休憩を挟んで小一時間) 
3.自由時間
※自発的なお手伝いのみ家事をしてもらう

[午後]
昼食後、休憩をしてから放課後デイへ。
曜日によって目的別に3箇所のデイを利用、各デイも1日1時間程度のセッションを、個別or2~3人で受けています。
デイA : 芸術系 / 火・水・金・土
デイB : ソーシャルスキルトレーニング(SST)/月
デイC : 学習特化/ 木

デイ終了後は、夕食時までカメラ持参で本人の行きたい場所へ..!

ホームスクール開始から最初の1年に利用したのは「デイA」のみ。学習やSSTも大切ですが、まずは苦手の克服よりも、心身の安定と自信の回復を目指しました。必要な配慮を受け、肯定される環境で、興味のある活動から少しずつ活動を楽しめるようになっていきました。

放課後デイは、いずれも夕方ではなく午後一の早い時間帯を利用中。(不登校枠)
この他、定期的にOT(作業療法)と、音楽療法(ピアノ・ドラム)に通っていて、どちらも物心ついた頃からの安心の居場所です。



見たいモノ・知りたいコト、を追求。

路線バスの車内

平日、午後一にデイでのセッションを終えて出かける先は、マコト自身がガイドブックから選ぶ神社仏閣・庭園など。趣味の写真撮影を楽しむようになったのは、龍安寺の枯山水を訪れたことがきっかけでした。限られた要素で表現された枯山水の造形美や歴史ある建築は、思いがけずマコトの興味に惹きつけたようです。

HSCでもあるマコト。敏感で繊細だからこその審美眼、どんどん磨いて欲しいと思います。彼が興味を持つなるべく多くのモノを見せてやりたい。多くのことを感じて、写真でも何でも、彼なりの方法で表現してくれたら、という気持ちでいます。

マコトが行きたい場所までのアクセス方法を調べて、私と路線バスや地下鉄など公共交通機関を使って現地へ。
撮影した写真はSNSにアップしたり、プリントして飾ったり、季節のグリーティングカードとしてお世話になっている方々へ送ったり..主治医のクリニックや放課後デイでも写真を飾っていただいていることは、本人の大きな励み。

自信を失いやすいマコトにとって、”好き”を極めていくことが何より大きな支えになるだろうことは、日常的に実感しています。



不器用さで可能性を狭めないために。

幼児期から自分の粗大運動や微細運動の苦手さ、周囲との違いを深く自覚していることで、自己肯定感が著しく低い子です。アナログ作業では、どうしても思い通りに手を動かせない不器用さからストレスや劣等感が生じて、意欲を削がれてしまいます。また眼球の動きにも不器用さが見られ、学習面でも苦労するだろうことは幼児期から予想がついていました。

必要な支援なしには、学びの上で大切な『面白さ』や『楽しさ』を感じさせてやれない..
本人の能力を伸ばしてやれない..
学校の教室後方からマコトを見ているときには、つくづくそのように感じて、焦ってしまっていました。

リビングにある学習用のパソコン

けれども、学ぶ内容やその方法も平均的な枠におさまる必要がなく、自由なホームスクールでの生活スタイルに変えたことで、本人の学びに対するモチベーションは変わりつつあります。

極端な不器用さを持ちながらも、HSCらしい感受性や想像性が活かしていく上で、いまマコトの強力な味方になっているのはデジタル機器です。彼の主体的な学びの環境を考える上で欠かせません。

特に直感的に操作できるApple製品は、感覚人間のマコトにはとても相性がよく、幼児期はiPad、現在はMacBookが彼の心強いパートナーです。

画像処理、動画編集、プログラミング、イラスト、ブログ発信.. 

不器用なのに完璧主義傾向のマコトにとって、思い浮かべるイメージが思い通りに形にならないことは大変なストレスでしたが、デジタル処理すれば頭にあるイメージ・アイデアはすぐに理想に近い形で表現できます。その面白さを実感したことが、意欲や向上心を引き出してくれたように感じています。

▶︎”好き”を伸ばして自信と安定に

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